おでこが広いコンプレックス。僕のおでこは8.6cm。

昔、風が強い日は外に出たくなかった。

何故なら風によって前髪がかき上げられ、広大に広がる僕のおデコが露わになってしまうからだ。しかも砂漠化まで進んでいるから、広いおデコと相まって二重苦なんだよ。

僕のおデコは8,5cmに達する。近年は8.6cmを突破したとか、しないとか。未だかつて僕以上のおでこを持つ人に会ったことがない。縦だけじゃなく、横にも広いから、もう終わってる。SMAPの中居君なんか目じゃないんだよ。

頭がデカイから帽子が似合わないから隠す事もできないし。

僕ほどのおデコが風によって露わになると、道行く人間の視線が若干あがるんだよ。まるで妖怪を見つけてしまったかのような視線で見てきやがる。クソ人間共が。

それがたまらなく苦しい時期があった。見られるのが嫌だからケープとかギャツビーのスプレーでガチガチに固めていた時期があったからね。

ガチガチに固めた状態で強風に煽られると余計酷い髪型になる。バリバリになった一部だけが巻き上がるから変な髪型になっちまうんだよ。

なので強風にやられないように頭を下げて歩かないといけなかった。頭を後ろに下げると、風が前から襲いかかってきたとき、全てが終わる。

風で髪の毛が崩れたら一巻の終わり。トイレで必死になって髪型を戻そうとするも、ケープの整髪剤のせいか白い粉が大量に発生したりするし、セットしなおそうとしても変に固めてるから弄れば弄るほどおかしくなるし。

ほんとね、デコが広いのがとてもコンプレックスだったんだよ。特に10代、20代の時はね。

でも30代になってからはそこまでは気にならなくなった。

きっかけは、20代後半の頃に付き合った女性に、僕がおデココンプレックスだと打ち明けたところ、なんか爆笑されて、気にしすぎ!!!とか言われて、デコ広いのそれはそれで可愛いじゃんとか、そんな風に言われたことだった。

それから僕は前髪でおデコを隠さなくなったし、風が吹いても頭を垂れて抵抗することもしなくなったし、全く気にならないかと言われれば嘘になるが、昔と比べれば天と地の差があるほどに気にしなくなった。

コンプレックスって、人に打ち明けることで、場合によっては解決できるものなんだと気づいた瞬間だった。それに気づくのに長い年月を要してしまったわけだがね。